タイで暮らすなら絶対避けて通れないこと

くらし
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みなさん、こんにちは!
みなみです。

タイ・・に限らず、海外で暮らすなら、どうしても避けて通れないことがあります。
それは、医療費をどうするか・・です。

タイは物価が安いんでしょう!? だったら医療費も安いはず! と甘く見ない方がいいです。
僕はタイで10年以上暮らしてきて、仕事や日常生活の場面でいろんな人を見てきましたが、タイで病気やケガをして医療費が払えずに困っているのは日本人、タイ人ともに数多くいます。

僕は前回のブログで、タイは物価が安いことについて書きましたが、医療費も安い・・とは書きませんでした。
ということは・・そう、タイは医療費は安くない、日本より高いんです。

タイにも社会保険の制度があり、多くのタイ人はこれを使っています。
日本人も、仕事をしていれば(取締役と60歳を超えた方は対象外)強制加入となりますので、使えます。
日本は医療費は3割負担ですが、タイはなんと! 基本タダです。

でも、いいなーーうらやましいーー!! と思ったら、大きな間違いです。
僕は昔、タイの社会保険を使って何度か病院に行ったことがありますが、はっきり言ってタダかろう悪かろうです。

保険証を作る時に病院を指定するというルールがあり、使えるのはそこ1カ所だけ、他では使えません。
日本の保険証みたいに、どこでも使えるわけではないです。

多くのタイ人が押し寄せるのに対応する医師が異常に少なく、待合室は常にギッシリ、待ち時間が2時間以内だったら超ラッキー、5~10時間とかザラです。
病院に行くだけで1日が終わります。

手術が必要な状態でもすぐ受けられるわけではなく、順番待ちで数カ月先・・となります。
軽い症状なら我慢して待てても、重い症状なら待っている間に取り返しのつかない状態になる可能性があります。

費用は基本的に無料ですが、がんや透析など内容によっては有料になることもありますので、何でもかんでも全部タダ・・とは限りません。
また ”診察室” “検査室” などの案内は全部タイ語のみ、英語は一切なし、会話ももちろんタイ語のみです。

なので、どうにもお金がない、劣悪でも何でもいいからとにかく医療費を抑えたい、タイ語オンリーでも全然OK・・という方向けです。
日本人が行くのはまず無理・・となります。

それではあまりにもつらい、少しはましなところはないのか・・あります。
次にタイ人がよく行くのがクリニック(小さな医院)です。

待ち時間はだいぶ短くなり、医療の質もやや良くなりますが、有料です。
僕も何度か行きましたが、料金は日本の3割負担の金額に近い感じです。

金額的には日本人にとって文句はないと思いますが、ここもまたタイ語オンリーです。
また、クリニックは規模が小さいので、対応できるのは軽い症状に限られます。
入院や手術が必要な場合は、大きな病院に行くように勧められます。

じゃあ、日本人が安心して行ける病院はないのか・・しっかりあります。
タイは日本人御用達の病院が多くあり、通訳が常駐していて日本語で対応してもらえるうえ、医療のレベルも日本と同じか、さらに上となります。
入院や手術となっても、完全看護なので一人でも安心です。

じゃあ日本人はここに行けばいいね! と思うかもしれないですが、なにせ高額です。
日本で保険証なしで病院に行ったら高くなりますが、あれよりさらに高いです。

・インフルエンザで高熱が出て、4日間入院
 10万バーツ(約47万円)
・新型コロナウイルスで高熱が出て、11日間隔離
 20万バーツ(約84万円)
・盲腸で手術、5日間入院
 25万バーツ(約120万円)
・五十肩で手術、5日間入院、さらにリハビリで40回通院
 60万バーツ(約270万円)
どうでしょう? 全部僕がタイで実際に経験したことです。

僕は海外旅行保険に入っていますので、全部保険でカバーされて自己負担ゼロでしたが、もしまともな保険に入ってなかったら・・

僕はとっくに破産して人生詰んでいました。

こうした時、駐在員は一番良いです。
駐在員でしたら会社が海外旅行保険をかけてくれますので、安心です。
しいて言うなら、歯科と持病は対象外ですので、それだけ気をつければ大丈夫です。

現地採用ですと、会社によっては現地の医療保険をかけてくれることがあります。
クリニックならこれでほぼカバーできますが、日本人御用達の病院に行くには全然足りないです。
移住、留学ですと、医療費は自分で何とかすることになります。

じゃあ、日本人がタイで暮らすのに医療費はどうしたら良いのか・・?

最高に良いのは、十分な貯えがあることです。
100~200万円くらい安い! 軽~く払える! こうした富裕層なら心配無用です。

いやいや、そんなの無理! と思うなら、日本の海外旅行保険に入るか、日本のクレジットカード付帯の保険を有効活用することです。
医療保険については、日本のものが最高品質です。

申込みから利用まで全部日本語で対応、利用を断られることはめったにない、日本人御用達の病院に保険証券を見せれば、どこでも一発でOKです。
医療費の支払はキャッシュレス(病院と保険会社の間で直接やりとりして済ませる)なので、お金のことは楽々です。
僕はこれを利用しています。

どうにもこれらが無理なら、最後の手段はタイの現地の医療保険に入ること(非推奨)です。
僕も昔入っていましたが、かなり使い勝手が悪いので今はやめました。

まず、タイの医療保険は申込んですぐ利用可能とはならず、健康状態を確認されます。
申し込む時に過去の病歴を確認される、それをもとに保険会社がその病院に照会したうえで審査をして、その結果次第で保険に入れる、条件付きで入れる、断られる・・が決まります。

審査は1カ月以上かかり、僕の場合は喉と鼻に関する疾患は一切対象外・・という条件付きで入れました。
入院・通院ともに保険を使えるのですが、日本の海外旅行保険では全然OKな治療でも保険対象外とされて、自己負担となることが毎回ありました。

タイの多くの医療保険は通院にやたら厳しい制限があり、通院は1日1,000バーツまで、超えた分は自己負担! というものが多いです。

昔はキャッシュレスだったのですが、今は変わりました。
まずは全額自分で払う、後で保険会社に請求する、審査のうえで後日保険金が出る、という流れです。

金額が大したことなければまだしも、入院や手術だったら立替えるのが大変です。
もうお気づきかと思いますが、日本の海外旅行保険と比べて明らかに劣悪です。

じゃあ保険料はさぞかし日本より安いのか・・日本と同じか、それより高いくらいです。
保険料は日本と同じかもっと高いのに、品質は明らかに日本より劣る・・高かろう悪かろうそのものです。
悪いことは言いませんので、タイの医療保険はやめておいた方が賢明です。

最後に、僕の奥さんからコメントです。
僕の奥さんはタイ人で、日本人御用達の病院の救急隊員です。
立場上、大病や大ケガなど緊急を要する患者の対応を毎日しています。

タイでは病院は株式会社であり、普通の会社と同じようにビジネスです。
日本人御用達の病院は高額なので、患者が来たらすぐ治療・・とはならず、支払能力の確認が先です。

昔は後で何とかするから・・でも通りましたが、どうにも払えず病院が大損したケースが多発したので、今は通用しません。

この患者は医療費が払えないと判断されたらどうなるか・・
最低限の応急処置だけして、社会保険対応の病院に送られます。
送られた先での対応は・・すでに解説した通りです。

万一の時に困らない、いつでも安心して日本人御用達の病院に行けるように、十分な用意を考えておきましょう。