タイで不正を防止する最強の方法

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みなさん、こんにちは!
みなみです。

タイで仕事をしていると “不正があった” “お金を横領された” という話を聞くことがあります。
今回は僕が実際に遭遇した事例と、それを防ぐ方法をご紹介していきます。

僕は今から10年以上前、タイに駐在員として赴任しました。
自動車部品などのめっき工場で、ゼロからの立ち上げでした。

海外勤務の経験はなく、英語もタイ語も全然ダメ、初めてのことだらけでの赴任です。
通訳はいましたが、日本語は会話が少しできるだけ、読み書きは全然できない人でした。

立ち上げで毎日大忙しの中、日本の親会社から一報が入ってきました。
“経理の状況について報告が全然が上がってこない、どうなっているんだ!?”

僕は日本で仕事をしていた時、税理士事務所にいたことがあり、経理が分かるということで、僕が内容を取りまとめて報告することになりました。

経理書類は全部タイ語で書かれていて、何が何だかさっぱり分からないのですが、通訳に聞きながら少しずつ状況を把握していきました。

そんな中で、明らかにおかしい点が見つかりました。
・現金残高が68万バーツ(約230万円)となっている
 会社が普段手元に置いているのは3~5万バーツ程度で、そんな多額の現金を置いてあるわけがない
・銀行預金の残高も実際と250万バーツ(約830万円)以上合わない
・2つ合わせて、当時のレートで1,000万円以上足りない

中小企業がギリギリでやっと進出した先で1,000万円以上もやられたら、たまったものではないです。
“こんな状態ではやってられない! もうやめたやめた!” という判断になり、あえなく撤退となりました。

・会社がお金を出す時は、通訳が内容を説明して、トップが承認・サインしたうえで出金する
・僕が帳簿のあやしいところを訳すように頼んだ時、通訳は嫌そうに、逃げるような感じで訳す
・経理が人の入替がやたら激しく、頻繁に入って辞めて・・を繰り返していて、事情を聞きたかったものの、通訳を介して聞いてもあいまいな答えしか返ってこない

なので通訳か経理あたりがあやしい気はしましたが、証拠が掴めず、どうにもなりませんでした。
もしあの時日本人がタイ語ができていれば、不正をさせない、早く気づいて止めることができたはず・・と思うと、本当に悔しい限りでした。

僕はいたたまれずその会社を辞めて、日本に帰るか、タイに残るか、大きな選択を迫られました。
迷いに迷ったあげく、僕はタイに残ることにしました。

ただ、タイで本気で仕事をするならタイ語ができないと話にならない!
でないと、また同じ失敗をするかもしれない!
現地採用になるにも、語学ができないと相手にされない!

そう思い、タイの最高峰、チュラロンコン大学に留学しました。
1年間厳しい特訓を受けて卒業した後、現地採用で日系の自動車部品工場に総務・経理の統括責任者として入りました。

立場上、いろんな書類のチェック・承認依頼が毎日バンバン回ってきます。
そうした中である日、経理の出金伝票が回ってきました。
タイ人経理マネージャーはニコニコしながら “みなみさん、早くサインサイン・・” と言ってきました。

金額は500バーツ(約1,800円)、タイ人経理マネージャーもチェックしてサインしてある、問題ないか・・と思いきや、内容はなんと! スピード違反の罰金の領収書だったのです!
会社のドライバーが運転中にスピード違反をして罰金を取られた、というものでした。

書類は全部タイ語なので日本人は読めない、金額も大したことないし、どうせ僕はすぐ承認するだろう・・そう思ったのでしょうが、僕はタイ語が読めるのですぐ気づいて社長に相談。
社長は当然 “そんなのダメに決まってるだろっ!!” となり、支払いを止めました。

それからというもの “今度新しく入ってきたあの日本人はタイ語が読める! 変なものを出すとバレる!” という話が広まり、あやしい書類は回ってこなくなりました。

どうでしょうか? これらはすべて実際に起きた出来事です。
日本人がタイ語ができる、特に読み書きもできたら、不正はできない、すぐバレる・・となり、最強の不正防止となります。
その後、僕はタイで転職をしたこともありますが、僕が総務・経理の統括責任者として入った会社では不正が起きた試しがないです。

じゃあ、経理を会計事務所に委託して、第三者が入るようにすれば、不正はできなくなるじゃん!
と思ったら甘いです。
多額の不正がきっかけで撤退した、僕が初めて赴任したタイのめっき工場はなんと、経理を日系の会計事務所に委託していたのです!
経理を外注してもお金の出し入れは自社内で行われる、会計事務所はその事実を記帳するだけなので、不正の抑止力になりそうでならないのです。

何が何でも会社を不正から守りたい・・と思うなら、日本人がタイ語ができるのが一番です。
タイ人に英語を求めるだけでなく、ご自身もタイ語を覚えましょう。

本当に信頼できるタイ人パートナーがいれば、そうした方に管理を任せる選択肢もあります。
でもそれができている会社は少なく、僕が10年以上いろんな会社を見てきた中でわずか・・な感じです。

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