タイはすべての企業情報が一般公開

ビジネス
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みなさん、こんにちは!
みなみです。

仕事をしていると、取引先や競合先などの経営状況を知る必要があります。

日本では、上場企業は一般公開されていて、誰でもタダで自由に見られます。
非上場企業ですと情報は手に入りにくく、どうしてもほしい時は帝国データバンクなどにお金を払って情報を買うことになります。

ではタイはどうなのか・・?
なんと! 上場しているかどうかにかかわらず、すべての会社の財務状況や役員名などが一般公開されていて、誰でもタダで自由に見られます。

サイトはこちら タイ商務省(日本の経済産業省に相当)のサイトです。
https://datawarehouse.dbd.go.th/index

言語(英語 / タイ語)を選んで、会社名か法人番号を入れると検索できます。
会社名で検索しますと、似たような社名があった場合候補がすごい数出てきますので、法人番号で検索する方がラクです。

英語版ですと役員名は出ないですが、タイ語版ですと役員の一覧表も出ます。
直近9期分の貸借対照表、損益計算書の要約版はもちろんのこと、粗利率・営業利益率・ROEなどの経営指標も出てきます。

会社の経営状況がガラス張りでほぼ暴露されている・・と言っても過言ではないレベルです。
銀行や取引先などから自分の会社の経営状況を聞かれた時、もはや隠せない、ウソもつけないということです。

僕が以前タイの会計事務所にいた頃、クライアントさんから “こんなの困る! どうにか非公開にできないか!? 役員の個人名まで出すのはプライバシーの侵害だろう!” などと言われたことがありますが、お役所がやっていることなのでどうにもなりません。

タイでは、これらは会社が決算が終わったら毎年必ず出すものとされていて、出さなければ罰金を取られますし、そもそもタイではどこの会社も出すのが当たり前なのに、もし出さなかったら何かやましいことでもあるのか!? と疑われてしまいます。

じゃあ、お役所が出しているのだから100%確実に信用できるのか・・!?
ほぼ確かとは思いますが、若干疑問が残るところはあります。

僕はこのサイトで取引先の調査を何度もやったことがあるのですが、状況が異常に良い(粉飾?)と思うことが時々ありました。
なので念のため、経理に詳しい人にも見てもらうと良いかもしれません。

タイではこうしたデータを、営業の交渉の場でも活用しています。
財務状況が良ければ(売り手は優良企業と取引したいので)材料を仕入れる時の交渉が有利になります。
仕入値を安く、支払サイトも長くしてもらうように交渉できます。
財務状況が悪ければ、仕入条件も悪くなる、下手したら取引を断られる可能性さえ出てきます。

財務状況で足元を見る、見られる・・ということはよくあります。
もし売る側なら、新規開拓営業をする時に予め財務状況を確かめて、悪いところは最初から手を出さないようにすることも可能です。

さらに、タイでは求職者もこのデータを活用しています。
タイ人が職探しをしていて応募するかどうかを検討する時、内定が出て入社するかどうかを決める時に見ています。

僕はタイで転職歴があり、財務状況の悪い会社にいた時期もあるのですが、そうした状況ですと従業員の採用活動にも影響が出ます。

財務状況が良ければ、会社が求人募集を出した時に、待遇がそこそこでも応募が集まる、会社が選び放題、内定を出したら高確率でスムーズに決まる・・
財務状況が悪ければ、求人募集を出しても待遇を良くしないと応募が来ない、会社が逆に選ばれる側になる、内定を出しても辞退される確率が上がる・・
こうなります。

誰だって財務状況の良い会社に行きたい、好き好んで財務状況の悪い、リストラや倒産の可能性のある会社には行きたくない・・ということです。

これから現地採用でタイに就職したい・・と考えている人も、人材紹介会社がお仕事を紹介してくれた時にこうやって調べれば、ヤバイ会社かどうか見極めることができます。

ちなみに、タイ人ですと(本当に面接に行くかどうか考えずに)とりあえず応募する、面接の約束をしても待遇が悪いと何も言わず行かない、わざとスッポかす・・という人が結構います。
人件費を抑えたいのはやまやまですが、あまり待遇が悪いと面接の約束をしてもスッポかされますので、気をつけましょう。

タイで成功する人は、こうしたデータもしっかり見て戦略を立てています。
経営陣や経理マンだけでなく、営業マンもこうした点を押さえておくと有利です。