タイで最適な業者の選定方法

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みなさん、こんにちは!
みなみです。

日本人がタイで仕事をする時、仕入先や業者を選定する際に言葉の問題から日系を選びがちです。
日常生活で買い物やサービスを利用する時も、どうしても日系のお店優先・・となりがちです。

それが悪いとか、間違っている・・というつもりはないです。
ただ、タイで10年以上暮らしている僕の経験からしますと、もったいないなぁ・・という気がします。

理由は、日系企業と現地企業の両方から見積りを取って比べると、多くの場合現地企業の方が安いからです。
日系企業でしか手に入らない場合は仕方ないですが、もしどちらでも手に入るなら、現地企業から買う方がおトクです。

僕はタイで10年以上仕事をしてきましたが、業者の選定を日本人だけで決める、現地企業を全然使わず日系企業ばかりを使う・・こんなふうにしていますと、タイ人から “日本人は業者と癒着しているのでは・・” と疑われることがありますので、気をつける必要があります。

ではなぜ現地企業の方が安いのか・・人件費が大きく違うからです。
日系企業は、日本から駐在員が赴任してきていますし、会社によってはさらに現地採用もいます。

日本人の人件費は、タイ人より格段に高額です。
一方で現地企業はそもそも駐在員がいないですし、基本タイ人のみです。
日系企業からも仕事をもらうべく、日本人現地採用を採用している現地企業も一部あります。

人件費で大きな差がつくので、その分価格で差がつきます。
なので日系企業はどうがんばっても、現地企業より高くなります。

今は多くの日系企業がタイに進出していますので、日系企業だけでもほとんどのモノはそろいます。
日系企業は日本語対応で便利ですが、どうしても高くつきます。
日系企業ばかり使っていたら、仕入値が上がって利益が減り、商品の価格を高くする必要があり、競争力が落ちます。

僕は以前タイの会計事務所にいて、いろんな会社の内部事情を見てきましたが、成功している会社ほど仕入先は現地企業が多いです。
逆に失敗している会社ほど、仕入先のほとんどが日系企業で、現地企業をほとんど使っていないことが多いです。

タイで成功している会社は、言葉の壁を乗り越えている、仕入先の選定がうまい、現地企業をうまく活用しています。

タイの現地企業が安いのは分かるが、品質は大丈夫なのか・・?
安かろう悪かろうではないのか・・?
確かに、昔はそういうことが多かったですが、今は格段に良くなっています。

2025年3月28日、タイでは極めて珍しく地震が起きました。
日本でもニュースで大きく取り上げられましたので、見た方も多いかと思います。

タイは基本的に地震のない国で、その可能性は震度1の地震が100年に一度起きるかどうか・・というレベルです。
あの日の震度は3程度、日本なら問題ないレベルですが、タイでは建物の倒壊、ヒビ割れなどの被害が出ました。

僕の奥さんはタイ人で、日本人御用達の病院で救急隊員をしています。
じゃあその病院も被害が出たのか・・?
建物、設備、職員、患者さんともに全然無傷で、通常通り医療をしていました。

その病院を建てたのは・・? 奥さんから聞いたのですが、日系ではなくタイ系です。
そう、タイ系であっても業者の選定をしっかりすれば、十分品質は保てるのです。
ちなみに、あの地震で倒壊した建物を建てたのは中国の業者で、タイの業者ではないです。

それでは、タイでは業者の選定はどうすれば良いのか・・?

まず、金額の小さい案件は、タイ人に相見積りを頼めば良いです。
高確率でタイ企業に頼みますので、安い見積りが出てくるはずです。

金額の大きな案件は、日本人も日系企業に相見積りを頼みましょう。
そう、まずはタイ企業の相見積りと日系企業の相見積りを取るのです。

ここで大事なのは、見積りを頼む先は、タイ人従業員の縁故・知人は外すことです。
いやいや、タイ人が懇意にしているところに頼めば好条件を出してもらえるじゃん! と思ったら危険です。

タイ人の身内・知人が経営している業者ですと、そうした期待ができる一方で、キックバックをもらう可能性も格段に上がるのです。

毎月多額の仕入をする業者が、実はタイ人が懇意にしているところだったらどうなるか・・?
会社は仕入先に代金を毎月払う、実はその中にキックバック相当分が上乗せされている、仕入先は影でタイ人にキックバックを毎月払う・・
会社はトクしているようで実は損している、仕入先とタイ人がウラでちゃっかり儲けている・・

こんなのは、タイではよくある話です。
なので、まともな会社は規定をしっかり作って、従業員の縁故・知人は業者の選定から外す、見積りを取るのさえ禁止、というふうに徹底しています。

さらに、日本人がタイ語ができる、タイの現地事情もよく知っている・・となれば、タイ人にとっては “変な見積りや提案は出せない・・” となり、不正防止の抑止力になります。

もし購入予定のものが建物などであれば、その業者が実際に施工した事例を見に行く、その時に購入した方の評判も聞きましょう。

業者の直近3年分の決算書も見せてもらいましょう。
財務状態がヤバイ会社に頼んでしまったら、建設途中で倒産して払ったお金が全部パーになる、アフターサービスが受けられなくなる可能性もあります。

決算書は見方が分からなければ、経理に詳しい人(自分のいる会社の経理部門、会計監査など)に見てもらいましょう。
経営状況が悪ければ、もちろん検討対象外にします。

逆に決算書の内容がやけに良い場合も、実は要注意です。
粉飾している可能性があるので、本当にその会社の実力なのかをよく見極めることが必要です。

納期について、契約書に明記するのも良い方法です。
建物なら工期を明記する、しかも遅れたら1日いくらペナルティーを取る・・というふうに決めるとさらに良いです。

もし施工事例や決算書を見せるのを渋られたら、その会社はヤバイと思った方が良いです。
快く見せてくれるなら、良い取引ができる可能性が高いです。

価格だけですぐ決めない、日系であっても悪質な業者はいるので、面倒でもよく見極める、見積りや選定の時間を十分取る、急いで決めないことです。

タイで成功したいなら、言葉の壁を乗り越える、頼れるパートナーがいる、業者の選定で日系・タイ系の垣根を作らない、しっかり見極められるようにしましょう。